最近の公務員試験、倍率低すぎ
前々からずっと思ってたが、公務員試験の倍率低下が著しい。
ここ10数年で倍率が右肩下がりになっている。
僕も一応地方公務員なので、他人ごとではいられない。
試験の倍率が下がるということは、就職先として魅力が無いということだから。
難易度と仕事の規模で就職先として候補になりやすい地方上級(都道府県庁・政令指定都市)の倍率低下も酷く、最終合格の倍率が2倍を下回る自治体も出ている。
そして最終合格者から普通に内定を蹴られる。
例えば北海道庁は内定辞退者が多く出ることで有名で、辞退率が50%を超える。
採用の内部処理として補欠から繰上げするので、実質の競争倍率はさらに下がる。
もっとひどいのだと、土木・建築の技術職。
採用予定者より応募者が少なくて、2次募集3次募集しても定員未達なんていう笑い話にもならないネタがごろごろ転がっている。
学生向けのバイトの面接の方が倍率も高いし、難易度高いだろう。
僕の住まいの近隣の都道府県や政令市を見ても、倍率の低下が顕著に出ている。
僕が公務員試験を受けたころの都道府県・政令市は倍率20倍前後の自治体が多かったが、今は2~4倍程度になっている。
これは僕が公務員試験を受けた就職氷河期末期と比較すると雲泥の差で、もはや同じレベルの試験とは思えない。
いろいろ思うところはあるが、今回は公務員試験の難易度が昔どれだけやばかったかを語りたい。
氷河期末期の公務員試験の難易度と不条理
僕が公務員試験対策をしていたのは平成10年代の中ごろ。
そのころ、公務員試験受験ジャーナルという本があった。今もあるかは知らない…
その本には、全国の公務員試験の倍率が掲載されていた。
県庁や政令指定都市、市町村では、10~30倍くらいの倍率だった。
大体15~20倍程度がボリュームゾーンだったと思う。採用枠が少ない自治体は30倍を余裕で超えていた。そのため、若干名採用の小さい町や村の倍率が異常に高くなることもあった。
基礎学力がそこそこ高い層が受験しに来ての倍率20倍というのは、なかなかの難関試験だ。
MARCHの学生が100人受けて95人落ちる試験を想像してほしい。
そして受けられる試験数は5~6つ程度。大半の受験生が全滅する。
当時は行財政改革という名の役所の人員削減が流行っていたが、既存職員を切れない役所にとって、人減らしの策は新規採用の抑制くらいしかなかった。
無能職員を切れないので、しわ寄せが若者に向かったしまった悪しき前例。
例えば、当時ある県では県庁行政職の採用予定数が10人の年があった。
ちなみに今、その県の職員数みたら5,000人を超えている。
少なくとも1年に100人以上採用しないと成立しない数字なので、当時どれだけ採用を絞っていたかが伺い知れる。
隔年採用で2年に1回しか募集をかけない自治体もあった。
僕が受けた中で一番高倍率だった試験では、筆記突破後の面接だけで倍率50倍を超えていた。採用予定者が2名だったからだ。
これはまあ酷い方ではあるが、専門職ではもっとひどい試験もあった。
大半の自治体で採用無し、一部自治体のみ1名採用とかで、そこに全国から数百人の専攻科の学生が殺到する。専攻科の就職先が少なく、狙いは皆一緒だからだ。
旧帝の学生でも受からない試験
当然、難関大学の学生でも不合格の方が多い試験となっていた。
当時、とある知己からとある旧帝の就職課のデータをもらったのだが、大卒公務員試験の中では比較的難易度が低いと言われていた国家2種(今の国家一般職)ですら、その旧帝からの合格率は20%程度だった。
単発の試験では大半が落ちるので、複数の公務員試験を併願しまくって、1つ受かれば成功だった。
僕の受けた某地方上級試験でも、合格者の半数以上が旧帝クラスだった。
大企業より給料が3割低い公務員にこれだけの人が就職を希望するなんて、今から考えると異常だ。
公務員試験に全滅した学生はどうするかというと、新卒枠をキープするために留年する人が多かった。既卒になると、いざというときに民間就職が困難になって退路を断たれるからだ。
異常に多い試験科目
試験科目も、出題者の頭がおかしいと思うくらいに幅が広かった。
【教養試験】
一般知能:文章理解、数的推理、判断推理
一般知識:政治・経済・社会(社会科学)、日本史・世界史・地理・思想、物理・化学・生物・地学、時事問題
【専門試験】
法律系:憲法、行政法、民法、刑法、労働法
経済系:経済原論(ミクロ・マクロ経済学)、財政学
行政系:政治学、行政学、社会政策、社会学、国際関係
その他:経営学、会計学
範囲が広すぎる。
法学部の学生が2~3年かけて学習する行政法や民法でも、1試験あたり3~4問しか出題されない。
例えば「思想」という科目では、学者の提唱した理論名や、芸術家の作品名などを延々暗記する必要がある。(例えば、モンテーニュの著作=「エセー」みたいな)
地学とか物理とかも、基礎とはいえ、完全な理系科目でも普通に教養問題として試験に入ってくる。
考えて分かるのは数的処理(SPI的なやつ)や文章理解(現代文読解)くらいで、他の科目は知ってるかどうかでしか答えを導き出せない設問が多かった。
どれだけ勉強したところで、知らない問題が出てしまえば答えようがない。
対策したところで、急に試験が過去問レベルから逸脱することもあった。
僕が経験した中で一番ひどかったのは裁判所事務官という試験。
過去問では有名な判例とその解釈くらいの法律問題だったのが、僕が受験した年の設問は準司法試験レベルの法解釈に難易度が急上昇した。
筆記が難しすぎて受験生のほとんどが足切りラインにすら到達できず、問答無用で落ちてしまった。
足切りという絶対評価がある以上、急な難易度変更は採用に支障がでるはずなのだが、出題側が何を考えていたのか分からない。
倍率が下がった今、何を思うか
今思い返してもコスパもタイパも最悪な試験だった思う。
じゃあそれを乗り切って公務員になれたら人生バラ色かと言われれば、全くそんなことはない。
というかそこが本題で、公務員人生はなかなか未来への展望が描きにくい。
最低限のレールには乗れるけど、それ以上が望めないような造りになってる。
仕事もそう簡単じゃないし、無用な苦労も山ほどある。
その辺がSNSとかで個人発信できる時代になって、全部世の中にバレちゃった感じ。
現役の公務員はどうかというと、スキルアップや転職に無縁で、組織内で囲い込まれて偽りの安定に胡坐をかいて生きていくというのが、公務員村のスタンダードな価値観。
もう賢い学生は基本寄ってこないだろうね。
ということで次回以降は、公務員村の閉そく感について書きたいと思います。